その7 「星乃岡温泉」」
 *今回の温泉は08以前に書いた物です。

 「田部亭 空家(たべて からいえ)」とか「温泉 育造(おんせん いくぞう)」とか「世界1のオードリーヘップバーンのファン」「ローマの休日を見させる会(会員は私1人)の会長」などなど私の名前はたくさんあるので、自分で自分の名前が分からなくなった。そこで「温泉 育造(おんせん いくぞう)」という名前を1つ減らした。

 これでかなりすっきりした気分だ。本棚の整理をし終わったような、皿洗いが終わったような、洗濯物を干し終えたような実に爽やかな気分である。もっと言えば1週間の便秘から開放された「あの爽やかさ」と同じくらいで、街を歩いている一人、一人に伝えてその喜びを分かち合いたいくらいだ。

 ところで、世の中には「お金儲け」のさまざまな本が出版されている。株関係を筆頭に、企業の中で出世をするノウハウ、億万長者に成り方などなど枚挙にいとまがない。しかもそれらの本は売れているらしい。(たぶん)

 一体、これらの本を買う人はどういう人であろうか?調査をする方法は簡単だ。よく売れている本屋の前に立って、買った人にインタビューするのが簡単で信頼度は最も高い。しかし、私のようなナイーブで引っ込み思案な者には決して出来そうもないし、本人がウソを言う恐れもある。また、私を変態呼ばわりして警察を呼ぶことも考えられる。

 なぜなら、こういう本を買う人たちは「金儲け」に興味があり、お金儲け以外のことに興味がないのだから…

 インタビューはせずに、私がその人を観察して「どういう人か」を判断して統計を取る方法もある。これは実行可能な方法で信頼度も高い。何せ私は人を見る目には定評があり、今まで人に騙されたことは、ホンの数十回しかないから…。

 しかし、これも実行不能である。よくよく考えると、私の最も嫌いなことは面倒なことであるから、そういうことはやりたくないし、やろうとも思わない。

 それよりもっといい方法を思いついた。私自身がする必要はないではないか、弟子たちにやらせればいいのである。私の弟子は大勢おり、彼らにやらせれば最も簡単かつ正確なデータが取れる。

 なにせ弟子たちは厚かましくてその上デリカシィのカケラも持ち合わせてない。だから見知らぬ人にインタビューするなど何とも思わないだろう。いつも私のナイーブな感性を見習って欲しいと思っていたのだが、こういうときに役に立つとは夢にも思わなかった。これは最高のグッドアイデァだ。

 ところが、このグッドアイデァには越えなければならない壁があることに気づいた。「なぜ私が空家(からいえ)先生のためにそんなバカなことをしなければならないのですか!」と反撃されるに違いない。そういうことが容易に想像できる弟子たちなので、小心者の私には彼らに話を切り出すこともできないことに気づいたのである。うかつであった。私ともあろうものが…

 なぜ、私が「本を買う」人たちに興味があるか不思議に思う人もいるだろう。実は私も世界同時発売で「本を出す」ことを狙っているのである。それも世界で爆発的なベストセラーになるのは間違いないだろうという本である。

 彼らが金儲けの本を読んで「大金持ちになった暁」には、お金儲けだけでは寂しく感じるようになるに違いない。次に興味を持つのは「人生における哲学」であることは間違いあるまい。そこで私が彼らをターゲットにした哲学書を出版するのだ。

 本の題名も決まっている。「人はなぜたべるのか?」こういう類の本も多いが私に言わせれば「こねくりまわし過ぎ」ている。真理というのはもっと簡単である。

「腹がへるから…」 このたった1行の本である。これだけ簡潔で分かりやすく深い本が今まで世界にあったであろうか?丁寧な包装にして、しかも1冊千円は安い!?

「星乃岡温泉」
住所 松山市星乃岡555  泉質はアルカリ単純温泉
中央に大きな湯船、その横にヒノキの湯船、岩の湯船、打たせ湯、ジェットバス、水風呂があり、奥に入るとかなり広いサウナがあり、温泉マニアが望む湯船はほぼ揃っている。さらに別棟には家族風呂もある。他にも宿泊施設も確か10年ほど前に建設した。


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