食べ物評論家田部亭 空家 (たべて からいえ)の
  温泉評論その19 「大和の湯」

 広島市の郊外にあり、立地も優れていて常に広い駐車場にはたくさんの車が止まっている。最近広島市内にも温泉が新設されたが、それでもまだ需要と供給のバランスがとれていないようである。温泉ファンが多いということであろう。この温泉は長方形の形をしており、露天風呂へのドアを潜り抜けると時間が止まったような気持ちになる。これが温泉のいいところであろう。私は温泉に浸りながら数年来の疑問を考えていた。

 どういう男がモテルのか、私はずっと研究し続けた。現在も試行錯誤中であるが、その途中経過をここに発表したい。つまり中間報告第一弾とも言える貴重な発表である。男性諸君にとっては、決して読み飛ばすことができないであろうと、自画自賛している昨今である。これを読めば超モテル男に変身するに違いない!(たぶん…)

 さて、この中間報告は私とキムタクのモテ方の相違は何から生じているのかから始まる。つまり、私もキムタクも体全体のパーツはすべて同じであり、ほぼ同じところにすべてのパーツが位置している。

 私の鼻は顔のほぼ中央にあり、背中には付いていない。口も目もしかり、決して足に付いているわけではない。それなのになぜこうも彼と私とモテ方が違うのであろうか?

 彼の目とか鼻、口などのすべてのパーツと私のそれは大きくは変わらない。私のパーツがホンの少しだけ雑なだけである。また、それぞれのパーツの存在する位置も大きく変わるものではない。私のほうがホンの少しだけ雑なだけである。

 それが決定的なモテ方の相違を生むとは思われない。では、一体その差はなぜ生じるのであろうか?これは簡単に結論が導けるような問いではないようだ。そういうとき、我々は歴史に学ぶべきであろう。

 私もキムタクも言うまでもなく人類である。より広義にとらえれば動物である。動物が地球上に出現してから、彼らの最も大きな関心事は何であったろう。言うまでもなく「生きること」であった。さらに、生きていくために最も必要なことは「食べること」であることも疑いのない事実であろう。

 さらに論理を進めて、食べるためには何が必要か?これまた、言うまでもなく獲物をとるパワーである。ところが、生物が地球上に生まれてから「十分なエサ」があった時代は、マクロ的に見れば、ない。現在、人類の一部の地域、それも一部の人類では「飽食の時代」をむさぼっているかもしれないが、動物がこの世に生まれてからずっと「飢え」との戦いであった。

 私の論理はかけ流しの温泉のように華麗に続く…。つまり、長い飢えとの戦いが、我々の「食べ物」への執着心―換言すれば生への執着心―が我々のDNAに深く刻み込まれたであろうことも当然であると言えよう。

 ところで、女性が一生に産むことの可能な赤ちゃんの数は何人であろうか?私の想像ではおそらく、せいぜい20人以下ではないであろうか?逆に、男性は何人の赤ちゃんをつくることが可能であろうか?これまた、私の想像では10万人を超える?はず?

 どういうことか?男性はところも相手もかまわず自身の子孫を残せるが、女性はそうは行かない。たった20人の子孫しか残せないのであるから、女性は自身のDNAを子孫に伝えるためには、食べ物を得るのが得意な男性を選ぶしか方法はない。

 そのために、マンモスが主食の時代はマンモスを捕まえるのが上手な男性が女性の憧れの対象であった。そのため、当時の男性はマンモスの捕らえ方の研究に熱心であった。「血圧の低そうなマンモスは朝起きを狙え」とか、「左足を斜め45度から狙え」など、学校でも熱心に教えた。(たぶん?)下手な者は家に帰ると母親にこっぴどく叱られ、しっかり勉強するようにお尻をぶたれたに違いない。(たぶん)

 マンモス時代の名残は、いまなお現代に綿綿と受け継がれている。周りを振り返って見渡すだけですぐに発見できる。都会にあるマンモス校はマンモス時代の名残なのである?もちろん現代はマンモスの時代ではない。しかし、現代にもマンモス時代の名残が色濃く、「パチンコ屋」の名前としても残っているではないか!

 ここまでくると、聡明な方はハッと気づかれたに違いない?私とキムタクのモテ方の原因はそこにある。おそらく、キムタクはマンモスを捕まえさせれば超名人になる素質があるに違いない。それに反して私はおそらく超下手なのであろう。女性たちはそれを本能的に見破っているのであろう。

   大和の湯
  広島県安芸郡府中町新地2−17
  泉質:ナトリウム
  入浴料金は700円(平日)で、広島市内の温泉料金とほぼ同じである。温泉施設としてはマンモスではないが、温泉ファンが臨むであろうサウナ、ジェットバス、サウナ、壷湯、水風呂など設備はほぼ揃っている。また、簡単な食事も可能である。広島市内の温泉ファンが行き易い立地も支持されている理由の一つであろう。

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