食べ物評論家田部亭 空家 (たべて からいえ)の

温泉評論その22  「びざんの湯」

 ホテルを建築していて想定外の温泉が湧き出たという変わり種の温泉である。思わぬ温泉の恵みで、ホテルサンルートは期せずして、温泉がセールスポイントになった。強運のオーナーである。サンルートホテルは信念を持ってやった訳ではない。まさに偶然で、運の強い人とはそういうものだ。(たぶん?)

素朴に考えると、地球の中は燃えているので、どこを掘っても温泉は出るはず。実際に広島のある銭湯のご主人が強い信念で掘削した。周りからは相手にされず、もちろん家族からは呆れられていた。(らしい?)

 ところが、地球の中は燃えているので、当然のごとく温泉が湧き出た。その銭湯は広島の市街地で温泉として今も営業している。要は採算が合わないだけである。しかし、このオーナーの人生は輝いているに違いない。まさしく栄光の人生である。

  強運と栄光と言えば、自分で言うのも口はばったいが、私は強運の持ち主である。いや、それどころか、私に勝る強運と栄光に輝いている者は、私以外にいないとさえ思っている。私の人生はまさしく強運と栄光に包まれていると言っても過言ではない。

 それは幼いときから発揮されていた。厚顔の愚少年として、村では大評判であった。常に周りをブイ、ブイ言わしたものだ。特に近所の豚を…。なめてはいけない、豚だけでは決してない。案山子(かかし)もである。ウソだと思ったら、彼らに証言してもらいたいほどだ。

 今までに、宝くじを買ってはずれたことは1度もない。3000円買ったら、必ず300円当たり続けている。これだけの運を持った人物が、私以外にいるであろうか?想像することさえ困難だ!えっ、払い戻しだって?そんなぁ、アナタはデリカシーのない人ですねぇ。

 ところで、現在日本語はみだりに乱れている。「恰幅のいい」が「メタボ」という否定的な言葉になっている。何ということだ。私など「恰幅がいい」ため、二十数年前から腰パンであった。つまり、ファッションでも先見の明があったのである。「メタボでズボンがずれただけ」って!やはりアナタにはデリカシーのかけらもない。

 では、これはどうでしょう?女性に振られたことなど、ほんの十数回しかない。この幸運を分けてあげたいくらいだ。これには文句タラタラのアナタでも私の強運と栄光を認めざるを得ないでしょう?そんなに振られるか、って?結論を焦ってどうするんですか?これにはふか 〜い、ふか 〜い理由があるのです。

 高校生のときなどモテて、モテて困ったほど。友達の家に行くと、おばあちゃんがまとわりついて、美味しいものをどんどん作ってくれる。「コレを食べなさい、アレを食べなさい」などと、実にかしましい。

 なぜ、十数回振られたのか?賢明なアナタならこれで理由が分かったでしょう。「わけわからん」って?アナタは論理的思考が苦手なんですねぇ。よ 〜く考えて下さい。私が振られたのはすべて若い女性です。では、若い女性とおばあちゃんとの違いは何でしょうか?

 そうです、その通りです。年齢です。若い女性は当然のごとく若いために人生経験が浅く、男性の良さが理解できないのです。それと比べると70歳を過ぎた女性は、人生経験も深く、人間を見る確かな目があるのです。

 つまり、私の稀有な、厚顔の愚少年の魅力は、十代、二十代、いや三十代の女性になど分からないだけなのです。七十代を過ぎた頃からやっと私の魅力が分かるのだと理解すれば、すべてのつじつまが合うのです。どうです?文句タラタラのアナタでも、これですべてが了解できたでしょう?

 しかし、何かちょっと変? いやいや、きっとアナタの気のせいです。アナタもサンルートホテルの天然温泉に入ると、ふか〜い論理的思考が身につくはずです。(たぶん?)

 天然温泉「びざんの湯」
住所:徳島県徳島市元町1丁目5−1 サンルートホテル11F
泉質: ナトリウム−塩化物冷鉱泉
施設:露天ジャグジー、サウナ
料金:大人500円or 700円(時間帯によって異なる)

 本文にもあるようにホテルを建設していて偶然に湧き出た温泉である。徳島駅のすぐ近くに立地したホテルで、宿泊客以外の人も利用できる。

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