食べ物評論家田部亭 空家 (たべて からいえ)の

温泉評論その24「さくらの湯」

 愛媛県松山市周辺ではよく知られている温泉である。その泉質がいいと高い評価をする人も多い。ぜひ、一度は行ってみたいと、かねてから考えていた。

 ところが、お客さんが多くて「芋を洗う状態だ」との評判もあったので、躊躇(ちゅうちょ)もあった。弟子と違って繊細な私は、清水の舞台から飛び降りるほどの決死の覚悟で訪れた。

 普段の行いが良い者はやはり運に見舞われるものだ。日本の格言の素晴らしさに深い感動を得た。この程度の客数ならばまったく問題はない。快適に温泉に浸ることができる。

  私はメインの湯船に浸かった。私の好きな温度は低めではあるが、許容限度内である。それにヌルヌルとしており、その泉質の良さはどんな鈍感な者にも判別できる。おそらく私の弟子でも理解できるであろう。少し入っただけで肌が若返りそうだ。(おそらく)

 そう言えば、今から温泉に入って行く人の年齢は高そうであったが、出て行く人、出て行く人が若そうに思えた。「さくらの湯」の効能はこれほどてき面なのであろうか?

  だが諸君!私の興味を惹くのはそういうレベルの低い問題ではない。日本の少子化問題であった。前に高齢化解決の方法を発見した私であるが、実は少子化には悪戦苦闘(あくせんくとう)していたのだ。 しかし、「さくら湯」はこれを見事に解決するだけの「思惟(しゆい・しい)」を可能にしてくれたのだ。恐るべし「さくらの湯」。

  少子化を防ぐ方法は実に簡単である。逆転の発想をすればいいのである。すべて日本国民に「結婚許可証」を与え(男子18歳、女子16歳)、10年ごとの更新を厳しくするのである。そうすれば結婚する平均年齢が早くなる。(たぶん)

  さらに、「永遠の愛」を認めない。結婚は10年間だけ有効で、有効期間を過ぎれば、強制的な離婚となる。人は結婚生活の期間の定めがないから余裕をかまし、10年も過ぎれば立派な倦怠期(けんたいき)を迎えるのである。

  これが10年と区切られていれば、「限りある日を愛に生きる」のである。「うふん、あなたぁ、あと3年しか残ってないのよ、私たち。あなたと結婚していた愛の印が欲しいわ。」となる。(はず)これも同じ結婚相手との更新は極めて厳しくしておかねばならないことは言うまでもない。

  もちろん、産まれた子どもは国家の大切な宝物として、援助の手を差し伸べる。子ども一人できればその両親は10%ずつの所得税の免除。10人子作りに励めば所得税は0%になる。細かいことは優秀な官僚に委ねる。

  子どもの虐待(ぎゃくたい)をした両親は所得税免除の恩恵を受けられないだけでなく、国民への裏切り罪として100年の懲役(ちょうえき)を処す。そして当面、日本の人口目標を2億人とする。これだけの人口がいればアメリカに匹敵(ひってき)する市場が生まれる。

 うまく行かなかったら責任を取るか?と言われれば、もちろん、喜んで取ります。3年間の猶予(ゆうよ)を頂ければ、私一人で300人は増やします。そのために若くて、美人で、スタイルが良くて、頭が良くて、性格のいい女性を集めて下さい。決して贅沢(ぜいたく)は申しません。

 万一、私だけで不可能ならば、スケベ、もとい、国家を憂(うれ)う同士を集めます。 さぁ、明日から生玉子、ニンニク、山芋を食して、責任を取る準備をしなくちゃ。

 天然温泉「さくらの湯」 住所:愛媛県東温市北方2081−1
 泉質: ナトリウム−炭酸水素塩温泉
 施設:露天・ジャグジー・サウナ:打たせ湯(男子用は今は停止中)・水風呂
 料金:大人400円(石鹸など温泉内にはない。持参するか売店で買う必要)


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